Make it up

「ねぇ、は彼氏ほしいとか思わないわけ?」

仕事を早めに切り上げて、行きつけのカフェでケーキと紅茶を楽しむ予定が、偶然ストリートを通りかかった 男好きの同僚、グラモアに見つかっていつの間にか同席させられている。


私はこの女が苦手だ。

ああ、さよなら私の優雅なティータイム。





「彼氏?いや・・・私は別に。」

「綺麗な顔してもったいないこというわねあんた。ま、私には負けるけどさ。あーどっかにいい男いないかなぁ。」

「って、グラモアこの前A君に会いに行くの!ってはしゃいでなかった?」

「あんなのもう別れたわよ、女より早くイク男に興味ないもん。」

オレンジが沈められたアイスティーを片手に笑うこの女に、一体何人の男が莫大な金を使わされたのだろう。

途方もなくて想像すらしたくない。





2年前、私にも彼氏っていうものがいた。自慢じゃないが女受けが良い顔をしていた。

そんな彼に一目ぼれしたグラモアは彼を寝取った、もちろん私の彼氏と知りながら。

それを聞いたときはまぁショックで両方殺してやろうかと思ったけど、面倒くさくて放置してた。

そしたらその元彼、すぐグラモアに捨てられて私に許しを請いに来た。

それがとてもしつこくて、終にはストーカーもどきになり始めたから

仕方なく3000万ジェニー払ってミルキに殺してもらった。






「私ちょっとお手洗い行ってくるからー。」

これはチャンスだ。今のうちに会計をして抜け出そう。

彼女がWCルームに入ったのを見計らい、手を上げてウェイレスに会計の合図をする、

私を見たそのウェイトレスは軽く頷き一度レジのほうへと入っていった。財布、財布っと・・・。






…?

血の匂い?

財布を手に持った瞬間、かすかに臭うそれはどうやらWCルームのほうからのようだ。

なんとなく、長年の経験というものから何が起こったのか用意に察しすることができた。

心地良い殺気だこと。歪みがないオーラに敬意を表して、私も少し殺気を送ってみた。




「1800ジェニーいただきます。」
凄く愛想のいいウェイトレスが伝票をもってきた。彼女は今トイレがどんな惨劇の場になっているのか知らない。

コーヒーとケーキに1800ジェ二―は少し高い気もするが店の雰囲気とその味は価格以上だ。

「一度会計をお願いしたのにごめんなさい、気分が変わったの。オレンジペコをもう一杯とアールグレイをホットでいただけますか?」

「かしこまりました。」
















あれから5分、丁度テーブルには淹れたての紅茶が2杯置かれたところだ。

遅いわね、帰っちゃったのかな。


ウェイトレスが厨房へ戻ってまもなく、WCの扉が音を鳴らして開いた。

足音を立てるまでもなく、息遣いが聞こえるわけでもなく、ゆっくり近づいてくるその人物に目を細めた。


「仕事?」

「うん。」

「グラモア殺ったのね。」

「うん。彼女にふられた男からの依頼でね。」

これ俺の?とアールグレイのカップを持って聞いてくる、それに相槌だけ返した。

「死体は?このカフェが殺人事件のせいで閉鎖になるのはごめんだよ。ちなみに同僚の間で騒ぎになるのも。」

「安心してよ、掃除しといたし死体窓から下に落としたから。顔、ぐちゃぐちゃになってるから身元が分かるだけでも数ヶ月はかかる。」

「そう、ありがと。」

「めんどくさかったけど、が送った殺気で君が此処にいるって分かったし、1ヶ月前みたいに怒らせたくないからね。」









「そろそろ戻ってきてくれないかな。」

ようやく折れた彼氏を前に、明日会議なの。今夜は寝かせないとかはなしね、と笑った。




























「ねぇ、は彼氏ほしいとか思わないわけ?」

「いや・・・私は別に。(喧嘩中だけど、一応いるから。)」



「あんなのもう別れたわよ、女より早くイク男に興味ないもん。」
(このままイルミと別れたら、あなたに彼、紹介してあげたいわ。)














END